観音崎、猿島巡り (2012-09-09)

 空高く、どこまでも青く、残暑厳しい9月9日、会の企画である観音崎砲台跡と猿島巡りが、横須賀市生涯学習課の野内氏の案内のもと、行われました。
 午前は観音崎、午後は猿島と猛暑の中、いささか強行な計画でしたが、熱心な野内氏の説明に、懸命に耳を傾ける会員の姿が印象的です。
 観音崎砲台は、明治13年1期起工から5期明治42年まで工事が行われ、フランス積みで造られたいくつもの砲台と弾薬庫は苔むした中、未だ堅牢な姿を見せておりました。
 午後、無人島である猿島に渡り、同じく砲台等のフランス積みを見学。
 当時、明治14年から砲台を起工、電気も通らず飲料水も無い中、明治25年電気灯機関舎、電灯所の工事が始まり、弾薬庫、砲具庫、兵舎、炊事場、トイレ等々、そこで働く兵の生活に即して造られていきました。
 それらは精妙かつ美しく、弾薬庫入口のアーチ型レンガ組みにいたっては、当時の技巧のすばらしさに言葉なく、この形を残した古の人々に畏敬の念を覚えるものでした。
 夏草生い茂る中、ふと兵達の甲斐甲斐しく働く様子が浮かび、芭蕉の「夏草や 兵どもが 夢の跡」 という句を髣髴とさせます。
 かつて、フランスのヴェルニーがもたらしたレンガ積みを日本人が習得し、この佇まいを残している。いま、私達はフランスに何を学び、何をフランスにもたらすことができるのであろうかと、これからの日仏の交流に想いを馳せ帰途につきました。
 観音崎灯台まで及べなかったのは心残りですが、次回のお楽しみに取っておくことに致しましょう。

会員 Mrs.Ikuko


見学の模様


観音崎 北門第一砲台跡


展望園地


猿島航路ー三笠にて


洋上からの猿島


電気灯機関舎


弾薬庫


島内にて

photo: n.takada